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2016/03/21

幽霊のベッドが3台。

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2016/03/03

どうしてあげたらよかったんだろう。

どうしようもない、どうしてもやれない。

2016/12/01

約束していた場所で鍋を囲み、それが冬だとしたらそうするし、夏だとしたら、そこには誰もいない。

 

2016/05/24
(1)一年に一度高熱を出す。それは土間の底からやってくる。(2)三メートル近い、骨と皮だけのイギリス人が何人も通り過ぎる。(3)単音の中に受肉。視界が開けてきた頃には遅い。(4)「独りでやるしかないのよアスカ」(5)次々に現れる曇り空に囲まれ、傘は掌に同化していた。(6)変身のためのオピウム。(7)前触れのループ。

2016/02/14

紫色のロッテリアの前で、失神した烏賊人間と意気投合して焼き鳥を奢ってもらう。

2016/02/08

浜に寄せた大波の幕下で二人のトルクメン人が嘔吐する。波しぶきがあがる。熱病に埋まる。三段ベッドの真ん中で夢を見るような日々が終わり、取り残された間抜けの足が何本か残った。

2016/02/07

夢女:自分は人間でないから人間のいないところでも住めると思っていました。
地獄男:そうですか。今でもそこに住みたいと思いますか。
夢女:そこには感情がないから、おもしろくないですよ。
地獄男:感情がない。では不安のような感情もないのですか。
夢女:いえ。いつの日かなにかこわいものがやってきそうな感じがします。
地獄男:どのようなときにそれを感じますか。
夢女:目覚めてるときはいつもです。

 

2016/11/23
小児科の診察室はがらんどうだった
黄色いアドバルーンが天井に張り付き
その中から犬の遠吠えが聞こえてくる

2016/11/22
Hugh Bailey。易捻挫性小人症。及び骨形成不全。俳優としての活動記録もあり、“The Sentinel(1977)“や"The Freak maker(1973)"といった映画に出演。生年没年共に不明。

2016/09/14

夏の思い出と言えば十万匹の蝉が一斉に木肌から離れ、思い出になろうとする夏がそれを夢だと言って聞かない。目が覚めた頃にはただ受話器があってそれはどこにも繋がっていなかった。

 

2016/09/01
やり直し。合図と言えばそれが合図になった。見上げた。眠りの続きが無花果の瓶詰めに投射されて、それが合図になった。やり直しだった。やり直しといえばやり直せる気がした。目隠しをしたまま生きてきた数秒前のケロイドが小指を握り締めて、青紫の花になった。

2016/08/17

人は生きていることについてしか語れない。

2016/06/08

海の一部が欠けて、美しい暴力が二つに分かれたら、どちらか一つがのっぺらぼうで、どちらか一つがお前だった。空は。空はいつまでも真っ青にあった。

 2016/06/02

縮みすぎた羊の、多すぎる足に踏みつけられたイラクサの僅かな冷えが、四角いクッキーカッターと、それに切り取られた巨大な春の、ただれ始めたささくれから、切り開かれて開示され、切り分けられていく。初夏は。初夏は膨らみ続け、すり減り、消耗し。朝は。朝は冷たい牛乳を飲むことで始まる。

 

2016/02/03

火曜日の海はただ寒い。

2016/09/04

鯨が横倒しになった砂浜で、手話を使って会話をしている黒人がいた。高台に梅ジャムを買いに行った。

2016/06/11

花屋の花子ちゃんが花をくれた6月。

2016/05/04

久しぶりに会った従姉妹と、地下鉄を四本乗り継いで、結局どこにも行かなかった。「靴下を履いて寝る人間は地獄に落ちる」と言っていたので気を付けようと思う。

2016/06/12

空の水槽に濾過した水を張って、

そこに手紙を沈める。

2016/06/10

ヘリコプターが真上を通り過ぎ、伸び縮みする爆音に身をひそめる。ずっと昔に忘れてしまったことに、つい最近あったショッキングな出来事が紛れ込み、それが自分の日記を読んでいくうちに、遠い昔の記憶として思い出される。2016年、煉瓦が積み上がった日、テトラポットが続く海岸線に、一人、隠れるようにして空を見上げている。

2016/12/09

四枚の毛布にくるまって眠っていた。瞼の裏に自分の背中が映っていた。鉄鍋の焦げるにおいがした。記憶の中心には、骨ばった女が二人いて、二人はずいぶんと辛抱強くベッドの下に隠れていた。床には雪が降り積もっていた。静かだった。何も知らなかった。知らないままでいられると思った。

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